【石川直宏引退特集】小野伸二が語るナオ「初対面から代表で活躍する選手だと強く感じた」 - サッカー魂
【石川直宏引退特集】小野伸二が語るナオ「初対面から代表で活躍する選手だと強く感じた」
【石川直宏引退特集】小野伸二が語るナオ「初対面から代表で活躍する選手だと強く感じた」 11/28(火) 18:34配信
石川直宏との思い出を語った小野伸二 (C) 青山知雄 日本が誇る天才ゲームメーカーの小野伸二と快足アタッカーの石川直宏。2004年のアテネオリンピックでチームメイトだった二人は、ピッチ上では“パスを出す側”と“受ける側”の関係として感覚的に共鳴し合っていたという。しかし、残念なことにアテネの地でも、その後の日本代表の試合でも、そのコンビネーションを発揮する機会はほとんどないまま現在に至っている。
現役引退を表明した石川に対し、小野は2018シーズンも北海道コンサドーレ札幌で現役生活を継続する。スパイクを脱ぐことを決意した後輩に対し、アテネ五輪の盟友が心を込めた“ラストパス”を送る。
――まずは石川選手との初対面の記憶や印象を教えてください。
共通の知人を介して食事したのが最初だったのかな。それから何回か食事をしたり、お茶をしたり。初対面がいつだったかのは忘れてしまいましたけど、「すごい選手だよ」って紹介してもらったところから始まったことは覚えています。
――どんな印象を持ちましたか?
僕は若い選手を見ると、「彼は代表に行くだろうな」っていう雰囲気を見分けられるんですよ。それで初めてナオに会った時も「この子も将来は代表で活躍するな」って強く感じたんです。プレーについてはもともと知っていましたけど、実際に話をしてみて、その人間性からも彼が持っているものを感じました。
――選手としてはどのように見ていましたか?
ナオがすごくいい選手だったことは鮮明に記憶しています。スピードがあって、ドリブルができて、キレのある選手だなと思っていました。とにかく味方がボールを持った時に走り出すタイミングが素晴らしい。同じような感覚を共有できるタイプの選手がいたら、ナオのプレーはすごく生きると思う。すごくタイミング良く走り出してくれるし、それでいてスペースがなかったら引いてパスをもらったりすることもできる。考えながらプレーできる選手でもあった。なおかつドリブルで運べるから、すごくやりやすい選手ですね。
――石川選手はパスの受け手として感覚がすごく合った選手の一人に小野選手の名前を挙げています。実際にプレーした感覚はいかがでしたか?
ナオは僕がボールを持った瞬間にパッと走り出してくれるんですよね。出し手としてはボールを持った瞬間に行ってほしいタイミングがあるんですけど、そのタイミングが絶妙でした。「あそこに走ってるだろうな」って、ルックアップしなくても蹴られるくらい。ナオのほうも「(パスが)出てくるだろうな」って信じて走らなきゃいけないけど、その感覚が共有できる選手ですね。
――そんな小野選手と石川選手が一緒に戦ったアテネオリンピックについて聞かせてください。
僕はオーバーエイジとして出場したんですけど、オリンピックは23歳以下の世代を中心に戦うべきなんですよね。そこに予選を戦ってない僕のような選手が入る難しさはすごくありました。それまでアテネ世代の選手たちと一緒にプレーする機会がなかったので、なかなか難しい部分はありましたけど、みんなサッカーに対する意識が本当に強かったですし、雰囲気も良かったことは覚えています。
――本大会では石川選手がなかなか出場機会に恵まれず、グループステージ第3節のガーナ戦で62分間プレーしただけに終わりました。
それは覚えています。本大会のメンバーが18人で、試合に先発出場できるのは11人。U-23世代のトップの選手が集まるわけですよね。いくら高いポテンシャルを持っていても、監督がどう使うかは分からないですし、そこは監督の要求に応えられる選手が使われるのかなって。もちろんナオがそれをできていなかったわけじゃなかったとは思うし、本人も納得いかない部分はあったと思いますけど、これは僕が何かを言えるものではないし、監督がその時にどう考えたのかによると思います。僕は特別に何か声を掛けるというより、チームの雰囲気を良くして、みんながワイワイできるような状況を作りたいと思っていたので、難しい話はせず、おちゃらけているキャラクターだったと思います。
――石川選手は小野選手から大会後に「日本代表で待ってるぞ」という言葉を掛けてもらったことがすごく印象に残っているそうです。
あれだけの資質を持っていて、一緒に練習をしていても「こいつ、フィーリングが合うな」って思っていましたからね。まだ自分も日本代表に入っている時だったし、彼らの世代が代表に入ってくることがすごく大事でもあった。ナオ自身もアテネでの悔しさが一つの糧になって、きっと這い上がってくるだろうと思っていたので。
――ただ、その後は一緒に代表でプレーする機会が……。
なかなか恵まれなかったんですよね。ナオが代表に入った時は僕がいなくて、僕が代表に絡まなくなってから選ばれるようになった。結局、アテネ五輪がナオと一番長く一緒に過ごせた環境でした。代表では入れ違いになってしまいましたけど、それでも代表の試合を見て「ナオ、頑張ってるな」とか、FC東京でも「いいプレーしてるな」って思っていました。もちろん代表では先発じゃない試合も多かったけど、途中から出てきても相手にとって脅威でしたよね。
――お二人はともに度重なるケガを乗り越えてきたことが共通点として挙げられます。
そうですね。ナオがケガで離脱している時にも会ったこともあります。サッカー選手って調子がいい時に限ってケガしやすい。その部分ではナオもいろいろ苦労したと思います。プレーできないことがサッカー選手にとっては一番つらいですからね。とは言っても、自分がやるべきことは変わらない。常にサッカーのことを考えて、復帰するために努力していました。ケガがあってもまた復帰して、いいプレーを見せてくれるのがすごく印象的でした。
――現役引退のニュースを聞いて、どのように感じましたか?
サッカーが好きでたまらない人がサッカーをやめるわけですからね。本人もいろいろなことを考えたと思うし、その決断をする勇気はすごいと思います。ただ、やめるとは言っても、きっとどこかで体を動かしてボールを蹴っているだろうし、おそらくサッカーから離れることはないんじゃないかな。遊びやフットサル、チャリティーマッチとかでもいいですけど、そういうところでまた一緒にプレーできたら面白いですよね。
――改めて石川選手に一言お願いします。
現役を上がるのは本当に残念だけど、今までやってきたことは次のステップにつながるはずなので、これからも日本サッカーのために力を発揮してほしいと思っています。これからは顔を合わせる機会が多くなると思うので、また違った目線で話ができたらいいですね。
インタビュー・文=青山知雄
■MF 44 小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)
1979年9月27日生まれ。静岡県出身。
日本が誇る希代のゲームメーカー。“エンジェルパス”と称される柔らかくて正確なパスを武器に活躍。1998年のフランスW杯に18歳の若さで出場し、翌年のFIFAワールドユース(現FIFA U-20ワールドカップ)では準優勝を果たした。ヨーロッパやアジアの強豪でプレーし、オランダのフェイエノールトではUEFAカップ(現UEFAヨーロッパリーグ)を制した経験を持つ。 GOAL
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