W杯で日本と対峙、セネガル代表の大型CB。ナポリ守備陣の要、クリバリの万能性 - サッカー魂
W杯で日本と対峙、セネガル代表の大型CB。ナポリ守備陣の要、クリバリの万能性
W杯で日本と対峙、セネガル代表の大型CB。ナポリ守備陣の要、クリバリの万能性 2017/12/5(火) 7:30配信
ナポリに所属するカリドゥ・クリバリ【写真:Getty Images】 1日に行われたセリエA第15節ユベントス−ナポリの一戦は、イタリアのW杯予選敗退のショックを忘れさせるかのような白熱した試合になった。W杯の組み合わせが決定したいま、注目したいのがこの試合でもナポリの守備陣を牽引したカリドゥ・クリバリ。W杯で日本と対戦する187cm89kg のセネガル代表DFは、正確なボールコントロール、守備力の高さを備え、日本を苦しめる存在となるに違いない。(文:神尾光臣【イタリア】)
【2018年ロシアW杯】グループリーグ組み合わせ
W杯ではセネガル代表として日本と対峙することになりそうだ【写真:Getty Images】 ●イタリアはW杯予選敗退も…喪失感かき消すセリエA上位争い
ロシアW杯の出場国に名を連ねることができなかったイタリアだが、予選敗退の喪失感を埋めるかのように(?)セリエAの上位争いは空前の盛り上がりを見せている。W杯組み合わせ抽選会の行われた1日、第15節でナポリとユベントスが対戦。アウェイのユーベが1-0で競り勝ち、ナポリに今シーズン初めて黒星を付けるとともに、勝ち点1差に詰めた。
ユーベの勝利を決めたポイントは、持ち味とする堅い守備組織の構成と、その中でドゥグラス・コスタを活かせたことにあった。この日は4バックでのスタート。守備の時には4-4-1-1に収縮してコンパクトな陣形をゴール前で作り、細かいパスを交換して攻めて来るナポリに対しそのスペースを潰そうという算段だ。
とりわけ重要だったのは、サイドの守備だった。左はクゥワドゥ・アサモアと、故障でトリノに残ったマリオ・マンジュキッチの代わりに出場したブレーズ・マテュイディで固める。一方で右サイドには、故障から開けたマッティア・デ・シーリオをサイドバックに置き、その前にドゥグラス・コスタを使った。対峙するナポリの左サイドは、ロレンツォ・インシーニエを軸に攻撃を回す最重要エリアだ。
ドゥグラス・コスタはスピードと高いテクニックを誇る一方で、守備への戻りは献身的と言えず、ここまで戦術的にフィットできていなかった。だがこの日は、彼の働きが決定的なものになった。13分、深く下がって守備をして、味方とともにインシーニエを挟み込んでボールを奪う。するとドリブルで一気に加速し、プレスを掛ける相手を剥がしてパウロ・ディバラへパス。加速のついたカウンターは高めに配置されたナポリの最終ラインを一気に破り、最後はゴンザロ・イグアインがシュートを押し込んだ。
そうして奪った決勝点を、全員守備で守り切った。2枚のセンターバックは中央から無闇に動かず、小兵のドリース・メルテンスに壁となって立ちはだかる。ボールが相手に渡れば彼らを中心にすぐさま陣形を引き、中央やサイドのスペースを消す。ディバラやイグアインもしっかり引いて、ジョルジーニョから縦パスを出させなかった。
高さのある相手に後ろに引かれてしまうと、ナポリにとっては不得手な展開だ。前半は左サイド以外に組み立てどころがなく、インシーニエが左サイドから仕掛けること以外にはチャンスの作りようがなかった。後半はリズムを変えて攻めに来たものの、ユーベの守備陣をうまく吊り出すことができず、攻撃を跳ね返された。
これでユーベは暫定2位浮上。3日にキエーボ戦を控えるインテルが同試合で勝てば首位浮上となるが、上位3位の後ろにはローマも差を詰めて来ている。5、6チームが例年なら優勝できそうなペースで勝ち点を稼ぐ熾烈な上位争いは、前半戦の折り返しを前にますます熾烈になって来ている。
●急成長遂げたセネガル代表DF。W杯では日本の脅威に?
さてW杯組み合わせ抽選の結果、日本はコロンビア、ポーランドとともにセネガルと対戦することになったが、そのセネガルの守備の重鎮がナポリで活躍している。カリドゥ・クリバリである。ユベントス戦でも当然出場。イグアインのカバーに遅れ失点には絡んでしまったが、それ以外のシーンでは能力の高さを見せつけていた。
187cm89kgと大柄な体格を活かし、空中戦もコンタクトプレーも当然のように強い。ただ凄いのは、その巨漢がウイングプレイヤー顔負けのスピードで走れることだ。この日も縦に飛び出したイグアインやディバラを追走しては、追いついてスライディングでボールを奪っていた。
ナポリには2014年から所属。身体能力の高さを見せつける一方で穴も多い荒削りな選手だったが、2015年にマウリツィオ・サッリ監督が就任してからは急成長。カバーリングが上達し、相手の戦術上重要なパスが前線に通ればそれを確実に潰す。正確なボールコントロールで守備から攻撃への切り替えにも貢献できるようになった。ナポリの高いディフェンスラインは、彼がいてこそ成立するものだ。
セネガル人の両親のもとフランスで生まれ育ったが、2015年に「心の問題」という理由でセネガルを選ぶ。中心選手として活躍し、3月にロンドンで行われたナイジェリアとの親善試合では、セネガルサッカー協会の手違いで入金がなされず、寝床を失いかけたチームのために全選手分の宿泊代を立て替えたことがニュースとなっていた。
なお当時は「資金難に直面するセネガルサッカー協会を救った」などと報道されていたが、本人はツイッターにて「セネガルサッカー協会からは立て替え分の入金があった」と発表している。
日本代表の戦術においては、前線でボールを収める大迫勇也の存在が重要なものになっている。その彼に対峙するのは、アンデルレヒトのエンボジ・カラとともにこのクリバリとなるだろう。ここを潰されることなく、基準点を確実に作れる攻撃ができるかどうかが、日本vsセネガル戦での重要な戦略ポイントの一つとなりそうだ。
プレミアリーグやリーグ・アンで活躍する選手の多くが名を連ね、イタリアではトリノのエムバイエ・ニアンも招集されているセネガル代表。対戦国選手を各国リーグでチェックするのも、W杯までの楽しみの一つである。
(文:神尾光臣【イタリア】) フットボールチャンネル
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