川崎Fを優勝に導いた小林悠が「あれが転機」という深いインタビュー - サッカー魂
川崎Fを優勝に導いた小林悠が「あれが転機」という深いインタビュー
川崎Fを優勝に導いた小林悠が「あれが転機」という深いインタビュー 2017/12/3(日) 8:30配信
点を取ることへのこだわりは以前と変わらない小林悠 今季のJ1リーグは、最終節に大宮アルディージャを5−0で下した川崎フロンターレが、ジュビロ磐田とスコアレスドローに終わった鹿島アントラーズを得失点差で上回り、まさに劇的というにふさわしい逆転優勝を飾った。これまで幾度となくタイトルに手をかけながら、ことごとくチャンスを逸して「シルバーコレクター」「万年2位」といわれてきた川崎Fにとって、まさに悲願が成就した瞬間だった。
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この日のドラマチックな試合のなかで、3得点を挙げ、優勝の機運を大きく引き寄せたのが川崎FのFW小林悠だ。涙と笑顔の入り交じる歓喜のセレモニーを終えてメディアの取材に応じた小林悠はそのなかで、今季の「ターニングポイント」として、あるインタビュー取材について言及した。
今季から任されたキャプテンの重責と、エースストライカーとしての得点への渇望──。取材者とのやり取りを通じて、その葛藤にひとつの解を示し、最終的にJ1リーグ得点王となるきっかけともなったSportivaのインタビューを、ここに改めて紹介したい。
* * *
◆川崎フロンターレ・小林悠インタビュー(後編)
川崎フロンターレの小林悠は、寝室の扉の内側に目標を書き記した紙を貼っている。その場所を選んだのは、起床とともに毎朝必ず見ることで、より強く意識できるからだという。
2017年になって、新たに書き直した紙は全部で3枚。うち2枚には「タイトル」と「全試合出場」の言葉が綴られている──。
今季から指揮官が鬼木達監督となって、キャプテンを任されるようになった小林に、チームの何が変わったのかを聞けば、こう答えてくれた。
「昨季までは攻撃のところに特化していて、その分というわけではないですけど、やっぱり簡単な失点というか、チームとしてオーガナイズできていれば防げた失点というのがあった。オニさん(鬼木監督)は、その隙を出させないというか、攻撃しているときもリスク管理をするとか、攻撃している中でも守備時のマークを確認させるなど、守備の意識を徹底してくれている。
今まではどちらかというと常にイケイケな感じでしたけど、今季は(谷口)彰悟とか(大島)僚太が、しっかりバランスを取ってくれている。チームとしても、勝つために今、攻撃に打って出ていいのか、それともボールを大事にしたほうがいいのか、というアンテナを張れるようになった」
今季の川崎には手堅さがあり、試合巧者のようにすら見えるのはそのためだろう。今年の1月1日、天皇杯決勝で敗れて、その悔しさから小林は勝つことにこだわるようになった。「たとえオウンゴールで勝っても、勝ちは勝ち。勝ち点3がプラスできるならば最高にうれしいし、それでいいとすら思えるようになった」とまで言う彼の姿勢は、確実にチームにも伝播している。
内容よりも結果──それは、タイトル獲得を目指すうえで、小林の中で新たに芽生えた本心である。一方で、小林の中には異なる感情がある。キャプテンとしてチームのことを考えた感情を縦軸とするならば、それとは平行することのない横軸が存在する。
彼が持つもうひとつの軸は、ストライカーとしての感情である。寝室の扉に貼られた最後の1枚には、しっかりと「得点王」の文字が刻まれているのだ。
小林自身、自らの中にあるふたつの異なる感情に気づいたのは、おそらくこのインタビュー中でのことだろう。
「キャプテンとして変わったところは何か?」という質問に対して、小林は「若手に対しても、積極的に声を掛けるようになりました」と答えた。具体的に聞けば、今季加入したFW知念慶(愛知学院大→)とのエピソードを教えてくれた。
「あいつは、すごくいいものを持っていると思うんですよ。ただ、僕が若いときもそうでしたけど、なかなか試合に絡めるわけじゃない。だから、『オレが若い頃は試合に出るために紅白戦のときには、ゴールしか狙っていなかったよ』って言ったんです。『周りに何を言われようが、FWは点を取らなければ、メンバー入りすることはできない。オレはそこにこだわったから、プロ2年目の途中から試合に出られるようになった』って。
あいつがそれを聞いて、どう感じたかはわからないですけど、『どんな形でもいいから、とにかくゴールにこだわれ』ってことは伝えました。試合に出なければ、経験も成長もできないと思うから」
そう言ってから、ハッとしたのか、小林は話のテーマを自分に戻した。
「チームが勝てればいい、という思いは本当に強いんですけど、最近、自分の中で『それだけじゃダメだな』って思うようにもなってきているんですよね。自分が、知念に言ったみたいに、もっと貪欲というか、もっとギラギラというか、ゴールに対する意欲というのはなくしちゃいけないですよね。
知念に言ったときも確かに思ったんです。偉そうに若い選手にアドバイスしているけど、おまえ自身はどうなんだって。知念に言うことで、自分自身もその感情を思い出したというか。FWである以上、ゴールを決めたいという思いは捨てちゃいけないですよね。チームを勝たせたいという思いと、自分がゴールを決めたいという両方の気持ちを持っていないと」
インタビューをしながら、待っていたのはこの言葉だったのかもしれない。
「もちろん、チームの勝利が一番大事ですけど、やっぱりオレ、自分のゴールがめちゃめちゃ大事ですもん」 前へ12次へ 1/2ページ
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